ゼウス特集行っちゃうぞー! |
Ciao!こんにちは。
ギリシャ神話の最高神、ゼウスことユーピテルの家族については以前に紹介したよね。
今回はユーピテルが、晴れて天界一の最高神になった後のお話だよ。
ユーピテルの妻になったユノー(ギリシャ名ヘラ、英語名ジュノー)は、ユーピテルの浮気に悩まされれる続ける。今でこそ浮気や不倫はゲスの極みといわれているけど、ルネサンス期の絵画界では、こういった浮気話は人気ネタだったのさ。
彼は、セクハラ、パワハラ、職権乱用などあらゆる方法を駆使してお気に入りの女の子に強引に「アタック」していく・・・つまり、世が世なら、連続強姦魔だね。
ただし、そこは理不尽がデフォルトのギリシャ神話の世界。こういった痛ましい出来事はギリシャ神話界では‘稀によくある’ことなんだよ。
今回は、そんなユーピテルの毒牙にかかって純情を汚されてしまった乙女たちが描かれた絵を見ていこう。
あ、ちなみに西洋絵画の歴史画(ギリシャ神話やキリスト教をテーマに描かれた絵)は、元ネタ本がいくつかあるんだけど、これから紹介する4点の絵画はすべて、オウィディウスPublius Ovidius Nasoの変身物語Metamorphosesに基づいて描かれているよ。
まずは、アンティオペのお話から。
被害者ファイル1:アンティオぺ
ANTHONY VAN DYCK, JUPITER AND ANTIOPE, MSK Gent |
その後の話は、子供たち(双子を出産したと言われているよ)と再会して、国を治めるまでになるハッピーエンド編と、なんやかんやあって酒の神バッカスの怒りに触れて、ギリシャ中をさ迷い歩くことになるバッドエンド編があるよ。
それにしてもユーピテルのこの悪そうね目を見て!こんなヤツが最高神だなんて、神も仏もあったもんじゃないね。
でも、これが「不条理こそが世の常」っていうスタンスを貫くギリシャ神話の世界観なんだ。
ちなみにこの時のユーピテル姿は、サテゥロスという半人半獣の森の精に変身したもの。そして、ユーピテルの隣にいるワシは、ユーピテルを象徴する鳥で、絵画の世界ではユーピテルの代わりに描かれることもあるよ。
さて、次の被害者はダナエ嬢。
被害者ファイル2:ダナエ
彼女は、とある国王の一人娘だったんだけど、「孫に殺される」という神託を受けてそれを恐れた父親によって、幼いうちから塔に閉じ込められてしまったんだ。もちろん塔は男子禁制で、徹底的に男女の出会いの場を排除しようとしたわけ。
ところが、そこまでして隠した娘をちゃっかり見つけてしまうのが、おさかんなる最高神ユーピテル。野獣の嗅覚っていうのは本当に恐ろしいものだよ。
塔のセキュリティーは万全で、普通に忍び込むことはできないと判断したユーピテルは黄金の雨に姿を変えてダナエに降り注ぎ、その雨を受けたダナエは即妊娠。
Titian, Danae receiving the Golden Rain, Prado |
「恐ろしい神託→予防措置→意味なし→神託実現」の一連の流れはギリシャ神話でよく展開される不条理パターンだから、余裕があったら覚えておいてね。
そうそう、ペルセウスは以前にこの絵でも紹介したよね?
Piero di Cosimo, Andromeda freed by Perseus, Uffizi |
さてと、被害者はまだまだいるから、先に進もうか。
被害者ファイル3:カリスト
カリストはディアナという、狩りと月の女神の従者だったんだ。ディアナもユーピテルの娘っていう設定なんだけど、彼女も合意なしの関係でできた子供らしい。
さて、ディアナは処女神であり、自分に付き従う女の子たちにも処女性を求めていたんだ。カリストも恋をするより、森を駆け巡っているほうが好きなタイプの女の子だったから、ディアナにも可愛がられて、森で楽しく暮らしていたみたい。
そんな純粋無垢な少女に目を付けたのが、他の追随を許さないゲスっぷりを発揮するユーピテルだった。
今回の手口は実に巧妙で、なんとユーピテルはディアナに変身してカリストに近づいたと言われているよ。ユーピテルと交われば妊娠は不可避なので、もちろんカリストも身ごもった。
彼女は被害者とは言え、不条理がまかり通るギリシャ神話の世界はそんなに甘くない。処女性に重きを置くディアナに申し開きなんて通用しないと思ったカリストはずっと妊娠を隠していたんだ。
でもある日の狩りの後に、川で水浴びをすることになって、ついに大きなおなかをディアナに気づかれてしまうんだ。大きくなったお腹を隠していた布をはぎ取られ、妊娠が発覚してしまう瞬間を描いた作品がこちら。
Titian, Diana and Callisto, National Gallery of Scotland |
さて、長かった被害者たちの絵画の旅も次の被害者で最後だよ。
被害者ファイル4:レダ
レダとユーピテルの交わりのエピソードは、ヨーロッパでは昔から有名で、多くの画家が描いた主題でもあるんだ。ギリシャ神話を扱った作品は「歴史画」と呼ばれる西洋絵画界では一番高貴な部類とされるのが常だけど、このレダの作品は扱い的には色物枠って感じが強かったんだ。
まあ、下の絵を見てもらえるとわかると思うんだけど・・・
Cesare da Sesto, Leda and the Swan, Wilton House |
ちなみに、上の絵は模写作品なんだけど、元の絵はダヴィンチさんのものなんだ。
ダヴィンチさんって、こういっちゃなんだけど、セクシーな女性を描くのがあんまり得意じゃないの。もちろん優美で美しい女性は大得意なんだけど、そこに色気とか艶とかは求めなかった人なの。
そのダヴィンチさんが描いて、こんだけセクシーに仕上がっちゃうんだから、もうテーマ自体が問題作なわけさ。
次の絵も衝撃的なセクシー度合いだよ。
Unknown, Leda and the Swan, National Gallery London |
まあ、僕たちの生きた時代は、人間の交わりを描くぐらいなら、動物との交わりを描いた方がまだ破廉恥度が低いっていう、今から考えるとおかしな価値基準があって、そういう背景もこの作品の製作に一役買っていたことは付け足しておくね。
さてさて、実は驚くポイントはこの構図だけじゃないんだ。この絵もまた模写で、作者不明なんだけど。実は元の絵はミケランジェロさんが描てるんだ。もうビックラぽん吉だよ!あ、変な言葉でちゃった。
だって、ミケランジェロさんといえば、筋肉女子を描かせたら右に出る者はいないと言われた、僕らの時代の非エロ系の急先鋒だよ。例えば下の絵を見てみて。
Michelangelo, Doni Tondo(part), Uffizi |
さらにもう一点言わせてもらうとね、下の写真はミケランジェロさんが作った、とある人のお墓を飾ってる「夜」っていう彫刻なんだけど、ポーズは、上で紹介した絵のレダとほぼ一緒なの。けど、セクシーさが全然ないでしょ?
Michelangelo, Night, Tomb of Giuliano de' Medici(part) |
それを、脚の間に白鳥を挟むだけでこれだけエロ度をあげれるなんて・・・。僕はここに世界七不思議のひとつを見た気がしたよ。
上の二作品のオリジナルが無くなってしまったのも、エロすぎるという理由で破棄されちゃったんじゃないかな?色物作品っていうのは、世の批判を受けやすいから。
まあ、今でも色物だという理由で芸術が否定されたり作家が起訴されたりするのは、あることだからね。でも、エロは人間の一部であり、人間を表現する芸術とは切っても切れない関係なんだ。だから、エロいからという理由で芸術を否定するのは間違ってる!
これは、正義感から言ってるんじゃなくて、自己弁護さ(笑)僕もがっつりダヴィンチさんの作品を模写してるからね。共犯なわけさ。
Raphael, Leda and the swan, Royal collection |
さて、本当はユーピテルの被害者はまだまだいるんだけど、あまりにも多すぎるので今回はこの辺りにしておくね。
最後に、ユーピテルがどうしてこんなに突き抜けた鬼畜設定をされているのかも語っておかないとね。
こんなキャラ設定になった一番大きな原因は、たくさんの街が守護神にユーピテルとの血縁を求めたからんなんだ。
例えば、街Aと街Bが戦争を起こした場合、街Aの守護神はユーピテルの子供だけど、街Bの守護神はどこの馬の骨とも知れないトイレの神様だったりしたら、闘う前から負けたようなもんだよね。
だから、「うちの守護神だってゼウスの血を引いてるんだ!」って多くの街が主張し始めたの。そういうわけで、ユーピテルは子だくさんキャラになり、その過程で鬼畜キャラもプラスされてしまったわけ。
そう考えると、彼も苦労人だよね。
さて、それでは、今日はここまで。Ciao!
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